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地デジがPCに開放される日はくるのか?
<2006/08/31 更新>
8月1日「地上波デジタル放送」(以下、地デジ)を管轄する総務省の審議会より、著作権保護の観点から採用してきた「コピーワンス」を「EPN」の運用に切り替える方針が発表された。その意味するところは、PCにとっては待ちに待った朗報なのだろうか?
「地デジ」放送の許認可権をもつ総務省の審議会が、地デジの著作権保護技術を、既存の「コピーワンス」から「EPN」に変更する提案を、総務省に提出した。
 著作権保護技術の変化により、地デジの「録画」ユーザーにとっては大きな変化が起こる。
 PCで「地デジを録画したい」ニーズに対して、どの程度の影響があるのだろう。

-そもそも「コピーワンス」とは?
著作権保護の観点からデジタル放送の録画した番組や音楽のコピーを1回に制限したのが「コピーワンス」です。
 従来のアナログ放送は「ゴースト=ぶれ」や「ノイズ=ざらつきや、乱れ」などを無くす事が非常に難しかった事に対し「地デジ」を含むデジタル放送はそういった問題がほとんどありません。
 さらに、地デジ放送の画面精細度は従来のアナログと比較すると数倍以上に向上しており、現在販売されているDVDなどよりも画面の大きさ(解像度)や、画質が高いです。
音声もデジタルで放送されており「6ch(=5.1ch)サラウンド」などが採用されています。
 そういった高画質、高音質化は、放送する番組の権利を持つTV局や、映画や音楽などの権利を有する企業にとっては大きな問題です。
 録画された番組がコピーされて配布されることにより「DVD」や「CD」、更には「Blu-ray」や「HD DVD」を販売する市場を失いかねないとして、アメリカなどと比べても厳しい、著作権保護技術「コピーワンス」を日本で導入したのです。-
 
 番組を作成し、その著作権や放送権を有する立場にとっては、それらの権利を保護するシステムは必要だと考えますが「コピーワンス」の副作用を考えた時、あまりにも強い制約はユーザーニーズに逆行する事を、行政である総務省自らが理解し「EPN」運用に方針転換したことは評価できると考えます。

-ではEPNとは?
EPNは放送信号に組み込まれ、EPN対応機器で受信、録画した情報はEPN認証機器の間であれば何度でも読み書きができるようになっています。
 事実上、書き出し回数の制限がなくなります。
現状の「コピーワンス」ではDVDや次世代DVDに書き出し作業中にエラーが起きて失敗した場合に、元データも無くなってしまう為、2度と録画したデータを見る事も書くことも出来ない問題が発生していました。
実は、ほとんどの電気機器メーカーは当初から「EPN」の採用を訴えていました。
同業界を所管する「経産省」も同様の立場を取っていました。-

-EPN採用は何のため?
地デジ対応製品の利便性向上が主題です。
録画してもメディアに1度しか書き出せなければ、失敗の可能性を考えると録画機器の導入をユーザーが躊躇し、結果的には「地デジ」導入の足かせになってしまう。
「コピーワンス」と比べれば、ユーザーニーズに近い「EPN」の導入が、「地デジ」普及速度の向上につながると考えたといえます。
 昨今登場し始めたHD DVDや、Blu-rayなどの次世代録画メディアの利便性が向上する事は、地デジに限らずより多くのHD対応製品の販売増加を促すと考えられているとも捉えられます。

 行政は、2011年に設けた移行期限までに「地デジ」への切替をある程度終わらせて置きたいのが本音なのかもしれません。
 更に「コピーワンス」と「EPN」による著作権保護の方法は、ソフトウェアの変更で行えるほどの差しかないようですが、やはり完全互換と言い切れるほど単純な問題ではなさそうです。既に「地デジ」対応機器を導入しているユーザーにとっては不安な要素です。
 まだ「EPN」移行に決定したわけではありませんが、ユーザーへの負担が0で住む問題ではなさそうです。

 そういった問題をクリアして、もし数年後にEPNに移行したとしても、より大きな問題が残ります。
それは「B-CAS」です。

-「B-CAS」とは?
地デジに限らず、BSやCSデジタル放送においても採用されている、デジタル放送受信機の個体認証システムです。
「B-CASカード」と呼ばれるデジタル放送受信機の個体識別用カードが無ければ、デジタル放送が見れない仕組みに成っています。-

実は「B-CASカード」の存在が、PC市場で地デジ対応キャプチャー機器が発売されない大きな要因になっています。
地デジ放送では「PCで地デジ放送を録画するためには、マザーボードとキャプチャー機器セットで認可を受ける必要がある。」とされている。
 結果、大手PCメーカー規模でないと、製品の開発から発売までにかかる期間と、経費が調整できず、当然PCで利用できる「地デジチューナーやキャプチャー製品」単体の製品は販売できないのが現状です。

 「地デジ」放送開始により、テレビ、HDDレコーダー機器の市場は急速に拡大しましたが、PCユーザーにとっては、一部のメーカー製PCでしか利用できないでいるのが実情です。

 先に台湾で行われた世界向けのPCショーでもデジタル放送受信チューナーや、録画関連機器が発表になっています。
 今年年末頃からはアメリカ市場を皮切りに、商品の出荷が始まります。
 技術は存在するのに「規制」により日本地域だけは取り残されていきます。

 しかし、EPNへの方針転換は「総務省」が賛同したことにより、従来から指示してきた「経産省」「文科省」やその他の行政と連動して実現の方向を向いています。
 規制の管理者達が、やっと全員が同じ方向を向いて話し始めたばかりです。
 
 どんなにすばらしい技術であっても、より多くのユーザーが簡易に使用できなければ普及しません。
 企業や、行政は「ユーザーニーズ」を正確に捉えなければ、インターネットによる情報の伝播速度が、規制の矛盾を露呈してしまう事を理解しないといけないでしょう。
 どんな優れた技術も、ユーザーが受け入れなければ無駄になるのです。
 特に、競争スピードの速さにより、技術が爆発的な進歩をしてきたPCにとっては、規制が最大の障害です。
 ユーザーニーズは以前よりもメーカーに届きやすい時代になっています。
 企業が主導して、ニーズを実現できる事が必要です。
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